2008年06月09日
●韓国製の軟水器は安い! だけど……
ネットを見ていると、このごろ韓国製の軟水器の進出がめざましい。
実は『Soft Water Book──軟水のお風呂で赤ちゃんの肌に』を編集しているとき、私たちも韓国製軟水器の仕様や価格を、韓国語のわかる人に頼んでかなり広範囲にきちんと調べた。
で、わかったこと。韓国製の軟水器は、すばらしく安い!
床置きタイプで手動再生の軟水器 (再生するときに自分で塩水や塩を入れるタイプ) は、安いものだと日本円で1万円以下。高くても3万円ぐらいで市販されている。
強く心を動かされた。まだイタリア製の軟水器に出会う前だったので、韓国から軟水器を輸入したらどうかと考えたのだ。
だけど、結局、私たちはそれを断念した。
●一人暮らしでシャワーだけですませるなら……
最初にネックになったのは、韓国製の床置きタイプの手動再生の軟水器には、イオン交換樹脂が少ししか入っていないってこと。
韓国は一般的に、お風呂はシャワーだけですませるらしい。つまりバスタブにお湯をためないのだ。だからだろう、そのタイプの軟水器は、イオン交換樹脂が2~3L というのものばかり。それだと、バスタブにお湯を入れて入浴する習慣のある日本で使うには、イオン交換樹脂が少なすぎるのだ。イオン交換樹脂が少ないと、しょっちゅう再生しなくてはならず、とても面倒なのに。
それでも、ひとり暮らしで、お風呂はシャワーだけですませるという人には向いている。
韓国では軟水器がポピュラーだから、見てくれもいいし……。
ということで、韓国の軟水器メーカーに連絡を取った。
ところがなんと、提示された卸価格は、韓国での小売価格 (市価) よりかなり高い値段。1,000台まとめて買えば安くすると言われたけど、それでも韓国での小売価格 (市価) と同じぐらいの価格だった。
たぶん、その韓国のメーカーの人、私たちが韓国でその軟水器がいくらで売られているかを知っているとは思わなかったんだよね。あとで他の人に聞いたら、韓国の人たちは、日本人のこと、すごくお金持ちだと思っているらしいし……。
だけど、日本人の多くはそんなにお金持ちじゃない! ……と、思う。基準は自分だけど。
とにかく、そういうわけで私たちは、イオン交換樹脂が少ししか入ってないのに、価格が割高になってしまう韓国の軟水器の輸入を断念した。ちなみに日本に留学している韓国の学生は、韓国で買って自分で日本に持ってきて取り付けているらしい。そのほうが断然、安いから……。
くり返しになるけど、韓国の手動再生の軟水器は、バスタブにお湯を入れないでシャワーしか使わないというひとり暮らしの人には向いている (値段はちょっと高すぎると思うが、見てくれはいい)。だけど、バスタブにお湯をためて入浴する人や、一人以上の家族で使うには無理がある。残念ながら、再生方法も、どうかなあ……? と思う商品が多い。
●手元でピタッと水が止まるシャワーヘッドの危険性
ところで、韓国製の軟水器には、もう一つ、見過ごすことができない問題がある。それは、軟水器にセットされている、手元ストップ機能付きのシャワーヘッドだ。
実は、日本のお風呂で使われているシャワーホースを取り付ける根本の器具 (シャワーエルボと言う) は、たいていのものが、手元で水をストップさせた際にかかる水圧に耐えられない。だから、日本製の手元ストップ機能付きのシャワーヘッドは、水を止めた際に起こる水圧の衝撃を減らすため、わざわざ、ストップさせても、しばらくは水がダラダラと流れるように作ってある。
だけど、韓国製のシャワーヘッドは、水がピタリと止まってしまう。これだと、シャワーホースの根本が破損してしまう可能性がある。マンションなんかで水漏れが起きたら、賠償額はものすごいことになる。手元ストップ機能付きのシャワーヘッドを付属させて韓国製の軟水器を売っているサイトのなかには、きちんとその危険性を警告している良心的なところもあるけど、ほとんどのサイトは危険性をきちんと告示していない。これは結構、大きな問題だと思う。
●軟水器を買うときは、よくよく見くらべて
せっかく、高いお金を出して買うのだから、加えて、軟水器は良いものを買えば長く使える商品なのだから、それぞれの軟水器の特性をよくよく見極め、自分のニーズに合った、安全で使いやすい軟水器を選んで欲しい。
とはいえ、軟水器は、日本ではまだまだ知られていない。そのため、情報が少なく、選ぶのが難しい。どんな軟水器を買ったらいいかわからないという方は、快適軟水生活の「軟水器購入の基準」を、ぜひ参考にしてください。(原田)